CES 2026参加レポート (前編)

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はじめに

はじめましての人ははじめまして、お久し振りの人はこんにちは。メディア基盤開発部の部長をしておりますyanoshiです。 新卒入社から早10年目。気がつけば部長になっていました。部長になってから寄稿するのは初めてですが何卒よろしくお願いいたします。 弊部は、弊社が扱う動画配信サービスの配信基盤を開発運用しており、インフラレイヤーの構築運用から基盤システムのソフトウェア開発まで、まるっと行っている組織です。 今回、CES 2026に、部長をしております私と、弊部で基盤システムソフトウェア開発をしている配信基盤グループのマネージャー、中村が参加してきました。

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矢野 完人 (やの まさひと) @yanoshi
デジタルコンテンツ開発本部 メディア基盤開発部 部長

新卒で2016年にDMM.comに入社。CTO室に配属され、新規事業立案やR&Dに従事。2017年に動画配信開発部に異動し、配信基盤グループにて配信基盤システムの設計・開発・運用・マネジメントなどさまざまな業務を行う。
2025年よりメディア基盤開発部 部長に就任し、インフラからアプリケーションまでを垂直統合された組織で更により良い配信基盤システムの開発運用を目指して取り組んでいる。

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中村 航 (なかむら わたる)
デジタルコンテンツ開発本部 メディア基盤開発部 配信基盤グループ Manager

2020年にDMM.comへ新卒として入社し、動画配信開発部配信基盤グループに配属され、主にエンコードシステムや配信向けバックエンドシステムの開発運用に関わる。
2025年より配信基盤グループが新設されたメディア基盤開発部の傘下となったことに併せて配信基盤グループのマネージャーに就任し、配信基盤システムの開発運用に関わるマネジメント業務を行っている。

家電やデバイス、ハードウェアといったところからは少し離れている私たちですが、そんなWeb系ITエンジニアの視点から見たCES 2026を、前編/後編に分けて報告できればと思っております。前編ではロボット、エッジAI、モビリティ領域を中心に取り上げます。

// 実はCESから帰国後、新型コロナウイルスを発症して寝込んだり、新年度に向けた予算策定等々を行っていたら気がつけば春になっていました;ちょっと鮮度が落ちてしまった記事になったことをお詫びします。

CESって?

Web系の方だともしかしたらご存じない人もいるかもと思ったので、まずはCESについて軽く紹介したいと思います。

CESは、全米民生技術協会(CTA: Consumer Technology Association)が毎年1月にアメリカ・ラスベガスにて開催している世界最大級の家電見本市です。 世界最大ということもあり、全世界から様々なデバイスやソリューションが集まり、世界中のメディアも注目する見本市となっています。 ニュースでご覧になったことがある方も多いかと思います。

家電とは言っていますが、昨今は電気で動くソリューションなら何でもという感じで、 家電はもちろんのこと、IoTからAI、ロボティクス、電源素子や半導体、BEVやHEVといった自動車関連等、 様々な分野の最新技術が集まるイベントとなっています。 そんなこんなで、元々はConsumer Electronics Showの略語としてのCESという呼称が成り立っていましたが、 現在では単にCESとして呼ぶように 公式でもアナウンス されています。(私も今回初めて知りました)

PLEASE NOTE: The official name of the global technology event is "CES®." Please do not use "Consumer Electronics Show" or "International CES" to refer to the event.

かくいう私はガジェオタでして、CESは毎年楽しみにしているイベントの一つで、いつかは現地に赴いてみたいと思っていました。 そんなCESに、会社の制度(カンファレンス支援制度)を利用して参加できることになり、非常に嬉しい限りですね!弊社に圧倒的感謝!

さて、そんなCESですが、今年開催されたCES 2026は1月6日から1月9日までの4日間のスケジュールで開催されました。 ちなみに昨年CTAは100周年を迎えたそうで、今年から新しい100年を見据えてCTAとCESのロゴが刷新されたりと、節目の年だったみたいです。 そんなタイミングで初参加できて、とても嬉しいですね!

今年は述べ14万8000名以上が来場し、4100名以上の出展者、6900名以上のメディアが参加したそうです。

どんなところを周ったか?

私も中村も初参加ということで、右も左もわからない中からのスタートでした。 調べてみると、ラスベガス中のホテルやコンベンションセンターにブースが点在しており、その規模に驚きます。 初めてコミケに行った時に受けた衝撃と似たような驚きを感じました。

CES公式アプリの地図とOpenStreetMapの地図を並べた図
CES公式アプリの地図と OpenStreetMapの地図 を並べた図

どのように周るのが最適なのか、勘所を掴むにはとりあえず参加してみないとわからなさそうということで、 今回はとにかくたくさんのブースを回ろうという方針で各ホールを中心に行脚しました。
主なホールはLVCCとベネチアンという2つの場所にあります。 LVCCにはWest Hall、North Hall、Central Hall、South Hall 1 & 2の計5つのホールが、 ベネチアンにはHalls A-DとHall Gの計5つのホールがあります。

数からして圧倒的規模ですよね。すごい。 それぞれのホールにはコンセプトがあり、なおかつ展示されている内容のカテゴリが異なっています。

ここからは各ホールごとに展示されていた内容を掻い摘みながら、気に入った企業のブースやトピックスについて紹介します。

LVCC: North Hall / West Hall

初日、まず最初に行ったのがNorth Hallでした。その後、隣のWest Hallへと行きました。 ここは下記のようなカテゴリのプロダクトを有したブースが出展しているエリアです。

  • Micromobility
  • IoT Infrastructure
  • Sustainability/Energy
  • Enterprise/AI
  • Smart Cities/IoT
  • Vehicle Tech & Advanced Mobility

LVCC会場地図

おおむねの印象として、可動域のあるハードウェアを展示するエリアというような雰囲気を感じました。(ざっくり)

昨今のAI技術の発展もあってか、どの展示もAIをどこかで意識しているようなものばかりだったと思います。

数多の「AI」を取り入れたロボットたち

特にNorth Hallについては、昨今のAIブームも相まって「AIを取り入れたロボット」が多数展示されており、随所で様々な二足歩行ロボットだったり、ロボットアームだったりが動き回っているようなホールでした。

Loveを送るロボット
Loveを送るロボット

ボクシングをするロボット
ボクシングをするロボット

多くのロボットたちが居ましたが、どこか既視感を感じるようなぎこちない制御のものも多く、まだまだな印象のものも多かったように思います。 制御工学についてはあまり詳しくありませんが、その昔のファジー制御や遺伝的アルゴリズムを応用した制御など従来の制御技術の延長線上に見える展示もあり、AIの活用がどこまで新しい価値につながるかは今後も注目したいと感じました。

しかし、こんなにロボットたちが展示されていること自体が、時代の潮流という印象を個人的には持っています。 Deep Learningから盛り上がり大規模言語モデルでいよいよ世界を変えようとしている現代のAI技術が行き着く先は、やはりロボットを始めとした現実世界への進出でしょう。 昨今はAIバブルだとも言われていますが、それらの投資によって膨れ上がった技術が袋小路に陥らないための向き先こそ、SFよろしくな二足歩行ロボットな気もします。 形はどうであれ、10年後は二足歩行ロボットが家事を代行してくれる時代がやってくる…そんな予感をさせてくれる展示だったように思います。

一線を画す性能を見せてくれたボストン・ダイナミクス

そんな荒削りなロボットも居る中で、一線を画す技術力を見せてくれていたのがヒュンダイ傘下に入ったボストン・ダイナミクスでした。 実物は初めて見ましたが、スポット(Spot)は愛嬌を振りまきながら踊り、アトラス(Atlas)が美しく二足歩行をして腕を回転させ、ストレッチ(Stretch)がせっせと段ボールを仕分けていました。

このロボットになら仕事を任せられそうな、そんな雰囲気を感じさせられる自然な動きで感動しました。 あと、スポットくんが非常に愛嬌があってびっくりしました。もっと異質で怖いものを想像していたのですが、動き一つでこんなにも愛嬌が表現できるのだと驚きました。

ロボットにも応用できる基礎技術でしっかりとプロダクトを作るエッジコンピューティングAI

まだまだ荒削りだなぁと思うロボットたちとは対比的だったのがエッジコンピューティングなプロダクトたちです。 いわゆる監視カメラシステム等で活躍しているエッジコンピューティングシステムが多数展示されていました。

エッジコンピューティング用ボード 監視カメラ映像処理のデモ

最新チップのスペック

韓国DEEPX社の高性能エッジコンピューティングソリューション

「ゴールドラッシュではジーンズとツルハシを売った人が一番儲かった」と良くいいますが、こういったシステムは現代における「ツルハシ」のような存在になりうるのかもしれません。

液浸冷却を売り込むENEOS

AIやエッジコンピューティングという下りの中にいらっしゃった面白いメーカーがENEOSでした。 昨今のデータセンターの冷却問題はかなりホットなトピックだとは思うので、まさにこれも「ツルハシ」なのだろうと思って拝見しました。

液体が循環している様子 仕様情報

ENEOS IXを利用した液浸冷却

小規模から導入開始できそうな液浸ラックが展示されており、機会があれば検討したいところですね。 あと油冷にも関わらず、揮発せず人体にも無害で簡単に拭き取れる液体だったのはかなり興味深かったです。

EVよりも自動運転が多く展示されていたモビリティ分野

インターネット越しに見えた、ここ数年のCESのイメージは「EV」だったので、あまりEVを多く見かけなかったのは意外でした。 見たこともない中国EVメーカーが多数出展しているイメージを持っていたのですが、そんなことはありませんでした。 他の方のCES 2026レポートでも、今年はEVが少なかったというような声を散見したので、どうやらその印象は間違ってないようです。

替わって多く見かけたのが自動運転関連技術です。 自動運転の要素技術を作っている会社から、自動運転自動車の完成品を作っているメーカーまで、多数の自動運転関連の展示を見ることが出来ました。

私は車好きなので、多種多様なプロダクトが見られてホクホクです。

正面から見たWaymoブース 巨大なロゴの像

Waymoの最新車両

巨大なWaymoブースとWaymoの新型車両

ベガスの街を実際に走っているZOOXの車両
ベガスの街を実際に走っているZOOXの車両

個人所有可能なレベル4の自動運転カーを謳うTensor Robocar
個人所有可能なレベル4の自動運転カーを謳うTensor Robocar

車載システムを売り込むQualcomm
車載システムを売り込むQualcomm

多数のLiDAR関連技術

LiDARセンサーとそれに纏わる多数の処理システム製品が展示されていました。

LiDAR本体の展示
LiDAR本体の展示

LiDARデータを処理するシステム
LiDARデータを処理するシステム

「自動運転に高価なLiDARは必要なのか?」は今ホットなトピックという認識なので、これらのモジュール/ソリューションが今後「ツルハシ」になるのかは注目だと思います。 個人的には大量生産されて安価になれば良いなという思いがありますが、現時点ではなかなか安くなっていない実情もあるため、今後どうなるか気になっています。メカレス化が進んで安価かつ高耐久な製品が増えることを楽しみにしています。

有名EVメーカーと新興EVメーカー

EVは少なくなったとは言え、目玉技術力を持ったメーカーや、長年EVを開発しているメーカーがちゃんと出展しているというイメージです。

車全体 コクピット

Lucid MotorsのSUV

Donut Labの全固体電池を利用している 世界初であるという宣伝

ROADSTER

世界初の全固体電池EVを謳うLongbow Motors

車載大型バッテリー(これはEVではないけど)
車載大型バッテリー(これはEVではないけど)

アメリカでは芝刈り機がウケる?

ホール問わず様々な会場で感じたのですが、自動芝刈り機がいっぱいいてそれが結構印象的でした。 日本では馴染みがそんなに無いので余計気になったのかもしれませんが、いっぱい居ました。スマートモビリティの代表的な乗り物(?)が芝刈り機なのでは?と言う感じでおもしろポイントでしたね。

芝刈り機 芝刈り機

また、日本ではお目にかかれない様な大型農機具や多目的レスキュー車両も展示されており、テンションが上りました。 農業分野でも自動運転は重要なトピックだと思うので、期待されるべき実用例なのでしょう。

麦用大型コンバイン タイヤが人より大きい
とにかく大きい 多機能レスキュー車両

CES Foundry (NVIDIA)

この場所はNVIDIAがワンフロア貸し切っているということで、NVIDIAの様子を眺めに行きました。 巨大なフロアを貸し切っているということで、NVIDIAの調子の良さがよく分かる展示だった様に思います。

NVIDIAの巨大ロゴオブジェ

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PC用のGPU (このショーケースで凄いお値段になりそう)

ネットワークスイッチ サーバー

噂の凄いネットワークスイッチとサーバー

ラックサーバー 中身も凄そう

ラックサーバーかっこいい!

フロント部分もかっこいい とても大きい印象
LiDARがいっぱいついている LUCIDのロゴも輝いている

話題になっていたUber自動運転タクシーもここに展示されていました

かわいい 蓋が開いた

謎のNVIDIA印の小型ビーグルも

様々な機械学習応用例も展示されていました。他のブースでも見かけたロボットや車がこちらにも展示されており、「まぁそうだよね。NVIDIA無しでAIってなかなか難しいよね」という顔をしていました。

動画検索のデモ 工場の状況分析のデモ 風洞実験シミュレーションのデモ
手術ロボットのデモ 噂の二足歩行ロボット

Tensorの自動運転カーもここに

こちらも話題になっていましたが、メルセデス・ベンツと共同開発している説明可能な自動運転システム。実車を眺めるのが楽しみですね!

実車展示

後編へ続く

後編では、CESらしいAV機器やゲーミングデバイス等が展示されているエリアや、ちょっとアングラな雰囲気も感じる電子パーツやアクセサリー機器等を展示しているエリアの紹介などをしたいと思います。

最後にCESを回るうえでのTipsやラスベガスの街の感想なども掲載しているので引き続きお読みください。

後編はこちら。