- はじめに
- CloudNative Days Winter 2024 とは
- Kubernetes Upstream Training in Japan
- 初心者枠での LT 発表
- 参加したセッションの中で興味深かったもの
- 映像配信スタッフのお手伝い
- 懇親会での交流
- 参加してみて
はじめに
この記事は、DMM グループ Advent Calendar 2024の 18 日目の記事です。
こんにちは。新卒 1 年目のなずな(@na2na_chang)です。
プラットフォーム開発本部 マイクロサービスアーキテクトグループの認可チームに所属しており、DMM Platform において認可のサービスの開発・運用を担当しています。
今回は、先日開催された CloudNative Days Winter 2024 に参加した際の体験記をお届けします。
CloudNative Days Winter 2024 とは
CloudNative Days Winter 2024(CNDW2024)は、クラウドネイティブ技術に特化したテックイベントです。2024 年 11 月 28 日(木)と 29 日(金)に開催されました。 今回のテーマは「小さな一歩、大きな飛躍〜クラウドネイティブを継続する〜」です。
このイベントは、クラウドネイティブ技術の普及とコミュニティの活性化を目的としており、エンジニアや企業、コミュニティが一堂に会し、最新の技術動向や事例を共有する場となっています。
CNDW2024 では、メインイベントの他にも、Kubernetes Upstream Training in Japan などの関連イベントが開催され、参加者は多様なセッションやハンズオンを通じて知見を深められます。
Kubernetes Upstream Training in Japan
CNDW2024 の一環として、11 月 26 日(火)に「Kubernetes Upstream Training in Japan」が開催されました。 このトレーニングは、Kubernetes コミュニティでのコントリビューションを始めたい方々を対象とした入門講座で、コミュニティの概要や参加方法、実際のコントリビューション手法を日本語で学べます。
このトレーニングでは、Kubernetes コミュニティの組織構成や貢献方法について学びました。Kubernetes コミュニティは、Special Interest Groups(SIGs)やワーキンググループで構成され、それぞれが特定の技術領域やトピックに焦点を当てて活動しています。また、コミュニティ内での役割は、Anyone、Member、Reviewer、Approver といった段階があり、貢献度に応じて責任範囲が広がります。まずは Member を目指せるように頑張りたいです。
実際のコントリビューション体験として、kubernetes-sigs/contributor-playground リポジトリに対して実際に Pull Request(PR)を作成し、メンテナからのレビューを受けてマージされる一連の流れを体験しました。このプロセスを通じて、Kubernetes プロジェクトでの貢献手順を実践的に学ぶことができました。
また、Kubernetes コミュニティで活用されている独自の CI/CD システムである Prow についても触れる機会がありました。Prow は、GitHub 上での PR や Issue の管理を効率化する自動化ツールで、ChatOps コマンドや自動ラベル付けなどの機能を提供しています。例えば、/lgtm
や /approve
といったコマンドをコメントすることで、レビューやマージのプロセスをスムーズに進めることができます。また、/meow
や /woof
などのジョークコマンドもあり、コミュニケーションを活性化する役割も果たしています。
初心者枠での LT 発表
CNDW2024 の初日である 11 月 28 日(木)には、初心者やコミュニティ向けのライトニングトーク(LT)ステージで発表しました。このステージは、クラウドネイティブ技術に関心を持つ初心者やコミュニティが自身の経験や学びを共有する場として設けられました。
私の発表タイトルは「Oracle Cloud で自宅クラウド構築:ブロックボリュームのスループット改善編」です。オンプレミス環境では意識することの少なかったストレージのスループット上限に関して、自宅インフラを Oracle Cloud の Kubernetes サービス(OKE)に移行した際に、この問題に直面しました。メトリクス監視を通じて永続ボリュームのパフォーマンス問題を発見し、Oracle Cloud Infrastructure のブロック・ボリュームのパフォーマンス・レベルを調整することで、自動スケールを実現した経験を紹介しました。
発表前に画面投影で多少のトラブルがあり、時間を押してしまいましたが、聴衆の皆さんから温かい反応をいただきました。
発表で投影した資料はこちらです: Oracle Cloud で自宅クラウド構築:ブロックボリュームのスループット改善編
参加したセッションの中で興味深かったもの
CNDW2024 では、多くのセッションが開催されましたが、その中で特に興味深かったものをいくつか紹介します。
転職したらゲーム基盤システムの移行が大変だった話 ~ 数百台のアプリを GKE 化、CloudSQL 化させて苦労したこと勘所 ~
紹介された事例は、ゲームで利用されるシステムをオンプレの VM からクラウドの Kubernetes に移行する際に生じた課題と、その解決に関するものでした。ユーザー体験に直結するため、数十 ms という非常に厳しいレイテンシー要件を満たす中で、性能改善を実現するための取り組みが紹介されました。
VM から Kubernetes への移行では、両者の稼働特性について言及があり、Kubernetes は VM と比較して「いつ落ちるかわからない」という表現がされていました。この視点は、私自身がこれまで VM を扱う機会が少なく、主に Kubernetes を使った環境での作業に慣れていたため、考えたことがなく、非常に興味深く感じました。この特徴はコンテナ全般に共通するものですが、「状態が悪化した場合は作り直せばいい」という思想と、「一つの実行環境を保守し続ける」という思想の違いに由来していると理解しました。
性能向上のための調査では、tcpdump を使ったパケットレベルでの分析が行われていました。例えば、DNS ではフルドメインを利用することで、不要な名前解決を削減し、十数 ms の改善が達成されました。
こうした詳細な調査と改善により、厳しい要件を満たすことが可能になっており、その徹底ぶりに感銘を受けました。
3 人チームでも運用できるパルワールドのクラウドネイティブ技術
夏に開催された Google Cloud Next Tokyo '24 でパルワールドのインフラチームの発表を聞いた際、自分のインフラにゲームサーバを導入するなど実際に手を動かしてみました。その中で、特にログやメトリクスをどのように収集しているのかに興味を持っていました。そして今回の発表を通じて、Google Cloud の標準的な仕組みを採用し、シンプルな解決策を徹底していることを知り、非常に納得感がありました。
この事例では、わずか 3 人という少人数でインフラを運用しつつも、クラウドと Kubernetes のエコシステムを最大限に活用し、管理の手間を最小限に抑える取り組みが詳しく説明されました。その結果、運用の負担を考慮したシンプルな解決策を検討することの重要性をあらためて認識しました。無理なく効率的な運用が可能になることが非常に印象的でした。
私自身、これまでは課題に直面するとすぐにコードを書き始めてしまう傾向がありましたが、今回の発表から学んだのは、まずシンプルな解決策を模索することの大切さです。これによって、運用負荷を増やさずに課題を解決できる可能性が広がると感じました。
全体を通して、パルワールドのインフラチームの取り組みは「シンプルさ」によって効率性と実現性を両立している点が際立っており、大いに参考になる内容でした。
映像配信スタッフのお手伝い
今回は、CNDW2024 の映像配信スタッフとして参加しました。映像配信スタッフは、会場内のセッションをライブ配信する際に、カメラや配信機材の操作を担当します。具体的には、StreamDeck を使って配信のレイアウトを制御したり、カメラの画角を調整して登壇者を映し出す作業をしました。イベント終了後には、配信機材の撤収作業にも携わり、ケーブルの整理や機材の収納、運搬をしました。
特に撤収作業では、ケーブルを八の字巻きにする際に苦戦しました。八の字巻きは、ケーブルを絡みにくくし、次回の使用時にねじれや癖がつかないようにするために必要です。初めての作業だったため、ねじれやすく苦戦しましたが、スタッフのアドバイスで正しい巻き方を身につけることができました。
初めて触れる分野でしたが、実際にオペレーションから撤収までを経験することで、ハイブリッドイベントに必要な機材や運用手順を学べました。この経験を今後 DMM 主催のテックイベントに活かし、より良い運営に貢献したいと考えています。
懇親会での交流
初日の懇親会では、参加者同士が自由に交流できる場が設けられました。私は、夏に参加した Google Cloud Next Tokyo '24 で質問させていただいた方と再会し、直接お話しする機会がありました。運用に関して、以前の質問を受けて自分が起こしたアクションについて相談してみてフィードバックを受けることができました。このような対面での交流は、オフラインイベントならではの魅力であり、貴重な場であると実感しました。
また、懇親会ではクラウドネイティブ技術に関するクイズ大会が開催され、参加者同士が知識を競い合いながら交流を深めました。クイズの内容は、Kubernetes の基本から最新のクラウドネイティブ技術動向まで多岐にわたり、楽しみながら学べる工夫がされていました。
参加してみて
CNDW2024 では、一般参加や LT 登壇に加えて映像配信のお手伝いもさせていただきました。イベント運営の一端を担うことで、普段は見えない裏側の準備や進行に関わることができ、非常に新鮮でした。今後も業務と両立したうえで積極的に参加し、自身のさらなる成長とコミュニティへの貢献を目指していきたいです。
プラットフォーム開発本部では、一緒に働く仲間を募集しています。
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