
- はじめに
- Observability Conference Tokyo 2025とは
- 発表内容
- 当日の様子:会場の熱気と参加者の反応
- SNSでの反響と外部からの評価
- 登壇を通じた学びと気づき
- 今後の展望:継続的な改善とコミュニティへの貢献
はじめに
こんにちは。ITインフラ本部 SRE部の庭野です。
2025年10月27日(月)に開催された「Observability Conference Tokyo 2025」に登壇し、「オブザーバビリティ成熟度モデルの企画から社内導入まで:複数サービスでの評価を通じた組織変革の軌跡」というテーマで発表してきました。この記事では、当日の様子や登壇を通じて得られた学びについてご報告します。
Observability Conference Tokyo 2025とは

Observability Conference Tokyo 2025は、SRE、エンジニア、マネージャー、CTOなど、オブザーバビリティに関心がある様々な役割の人が集まり、知見を共有しあうカンファレンスです。
今回は中野セントラルパークカンファレンスでのハイブリッド開催となり、現地444名、オンライン590名(速報値)の計1,000名超が参加する大規模なイベントでした。
中野セントラルパークカンファレンスの会場風景
会場では多くの参加者が真剣にセッションを聞いたり、ブースで活発に情報交換したりしており、オブザーバビリティへの関心の高さを実感しました。顔見知り同士の方も多く、わいわい楽しそうにしている様子が印象的で、コミュニティの温かさを感じる雰囲気でした。
このような活気ある雰囲気の中、書籍『オブザーバビリティ・エンジニアリング』の共著者による基調講演も行われました。
書籍『オブザーバビリティ・エンジニアリング』共著者による基調講演
オブザーバビリティの理論と実践について、原著者から直接学べる貴重な機会となり、私自身の発表にも大きな刺激を受けました。
発表内容
今回の発表では、以前ブログでご紹介したオブザーバビリティ成熟度モデルの取り組みを、「明日から実践できる第一歩」という形で参加者の皆さんに共有しました。
理論だけでなく、DMMで実践した組織的なオブザーバビリティ向上の取り組みと、その過程で得た知見を詰め込んだ30分の発表です。成熟度モデルの設計、実践的な導入プロセス、そして組織に生まれた文化的変化まで、理論と実践を結びつけた内容で構成しました。
オブザーバビリティ成熟度モデルの全体像
発表資料と詳細ブログ
発表資料はこちら
speakerdeck.com
発表内容の詳細はこちら
DMM全体のオブザーバビリティってどのレベル?成熟度評価で分かったこと
この記事では、今回の発表で紹介した以下の内容を詳しく解説しています。
- 6つの評価項目と5段階の成熟度レベルの定義
- アンケート形式での評価とレポート作成のプロセス
- レベル別改善アクションプランの策定
- 取り組みを通じた組織変化と得られた成果
- 「評価は出発点である」という考え方
セッション中にもこのブログ記事を紹介したところ、多くの方が実際に読んでくださったようで、嬉しい反響をいただきました。
当日の様子:会場の熱気と参加者の反応
私のセッションは、カンファレンスの中でもっとも広いホールでした。200人前後の方にご参加いただき、オンラインでも多くの方が視聴されていたようです。
オブザーバビリティ成熟度モデルについて発表中
発表中、多くの方がスクリーンの写真を撮っている姿が印象的でした。特に、オブザーバビリティ成熟度モデルの全体像や、実際の評価結果のレーダーチャート、改善アクションプランのスライドで、カメラを向けている方が多かったように思います。具体的で実践的な内容を求めている方が多いのだと感じました。
Ask the Speakerコーナーでの対話
発表後の「Ask the Speaker」コーナーには、5名ほどの方が来てくださいました。さまざまなセッションがある中でも関心を持ってくださる方が多かった印象でした。
特に印象に残った質問が2つあります。
質問1:アンケート依頼した際、みんながアンケートに答えてくれたのか?
これは実務的な視点からの質問で、実際に自組織で導入する際の懸念点だったのだと思います。社内外50サービス弱から回答をいただいたことをお伝えしました。多くのチームがオブザーバビリティに関心を持っていたと感じています。
この質問を通じて気づいたのは、「組織横断での評価」という行為そのものが、多くの組織にとってハードルになっているということです。
単にアンケートフォームを作るだけでは不十分で、以下の3つの工夫が協力を引き出すカギでした。
- 目的の明確化: 査定ではなく改善のためのツールであることの丁寧な説明
- 参加しやすい仕組み: N/A選択肢の用意や、チーム内での議論・合意を経た回答形式の採用
- 段階的な評価基準: レベル1からレベル5までの明確な段階設定により、現在地を把握しやすくする設計
これらは登壇準備の中で言語化できた要素であり、同様の取り組みを検討している方々にとって、実践的なヒントになると考えています。
質問2:低スコアだったサービスの担当者が、スコアに対して引け目を感じることはなかったか?
これは非常に本質的な質問でした。「評価は出発点である」という考え方をチーム全体で共有し、査定ではなく現状把握と改善のためのツールとして位置づけたことで、前向きに受け止めてもらえたことをお話ししました。
この質問を受けて、「評価結果をどう伝えるか」が成功のカギだとあらためて認識しました。
私たちが特に配慮したのは以下の点です。
- 評価を比較ではなく自己成長のツールとして提示: 他チームとの比較ではなく、自チームの現在地と次のステップに焦点を当てたレポート設計
- 強みも課題も両方を明示: 低スコアの領域だけでなく、高スコアの領域も強調することで、バランスの取れた評価を提供
- 具体的な改善アクションとセットで提示: 「何が問題か」だけでなく「次に何をすべきか」を明確に示すことで、前向きな行動を促進
評価は、スコアを提示して終わりではありません。その後のコミュニケーションとフォローアップが、組織変革の成否を分けると考えています。
参加者の属性も多様で、SRE、エンジニア、マネージャーの方々から、それぞれの立場での関心や課題について質問をいただきました。
SNSでの反響と外部からの評価
Xでは、私のセッションのスクリーンを撮影した写真をポストしている方がちらほらいらっしゃいました。特定のスライドが共感を呼んだり、参考にしたいと思っていただけたのだと思うと、本当に嬉しかったです。
また、他の登壇者や運営スタッフの方々からも、「感動した」「ぜひ参考にしたい取り組みだった」「全体的にかなり好印象だった」など、温かいフィードバックをいただきました。
このような評価をいただけたのは、理論と実践を結びつけ、「明日から実践できる」という具体性を重視したことが、参加者の皆さんのニーズに合っていたからだと思います。
登壇を通じた学びと気づき
発表準備での苦労と工夫
発表準備でもっとも苦労したのは、資料の構成検討でした。30分という限られた時間の中で、理論的な背景、実践的なプロセス、組織変革の成果、そして「明日から実践できる第一歩」まで、すべてを伝えるための構成をどう組み立てるか。何度も見直しを重ね、最終的には重点項目を絞り込むことで、メリハリのある発表にできました。
本番で意識したポイント
本番では、以下の2点に特に気をつけました。
- 発表時間内に終えること:30分という制限時間を守ることで、聴衆に対する責任を果たすことを最優先にしました。
- 早口にならないようにすること:緊張すると早口になりがちなので、意識的にゆっくり話すように心がけました。
幸い、タイムキープもスピード感も適切に保つことができ、予定通りに発表を終えることができました。
アウトプットで見えた改善点
発表を終えてもっとも強く感じたのは、アウトプットすることで見えなかった部分が明確になったということです。
発表準備の過程で、「ここの説明がまだ足りない」「このデータがあればもっと説得力が増す」「この観点での評価がまだできていない」といった、日常業務では気づかなかった改善点が次々と浮かび上がってきました。
これは、外部に向けて発信するという行為そのものが、自分たちの取り組みを客観的に見つめ直す機会になるということだと思います。今後の改善活動において、これらの気づきを活かしていきたいと考えています。
「評価は出発点である」という哲学が生まれた背景
質問2で「低スコアへの心理的影響」を聞かれたとき、あらためてこの哲学の重要性を実感しました。
評価を「査定」として捉えると、低スコアのチームは防御的になり、改善の機会を逃してしまいます。しかし「出発点」として捉えれば、レベル1であることは「これから成長できる」という可能性の表現になります。
この考え方を組織全体で共有することで、スコアの高低に関わらず、すべてのチームが「現状を知り、次のステップを明確にする」という前向きな姿勢で評価に臨めるようになります。
完璧を求めない文化が、かえって継続的改善を促進する——これは単なる理想論ではなく、実践を通じて見えてきた重要な原則です。
今後の展望:継続的な改善とコミュニティへの貢献
登壇を踏まえた具体的な次のステップ
今回の登壇を通じて、以下の3つの具体的なアクションが見えてきました。
- 評価の継続性確保: 四半期または半期での定期評価の仕組み構築
- 改善事例の横展開: 成功したチームの事例を組織横断で共有する場の創出
- 外部コミュニティとの連携: 今回のような機会を通じた知見の相互共有
これらは登壇準備と質疑応答を通じて明確になった、次に取り組むべき優先度の高い施策です。
組織とコミュニティへの貢献
このような具体的な次のステップが見えたのも、今回の登壇を通じて、オブザーバビリティに対する関心の高さと、実践的な知見へのニーズの大きさを実感したからです。
社内では、登壇で得られたフィードバックを踏まえて、さらなる改善活動を進めていきます。特に、「評価は出発点である」という哲学のもと、継続的な改善サイクルを確立し、中長期的な振り返り体制を整えていく予定です。
また、オブザーバビリティコミュニティへの貢献も続けていきたいと考えています。今回のような機会を通じて、多くの方々との対話が生まれ、相互に学び合える関係が築けることは、非常に価値のあることだと感じました。
オブザーバビリティの実践は、一つの組織だけで完結するものではありません。コミュニティ全体で知見を共有し、ともに成長していくことが、この分野の発展につながると信じています。
最後に
このような貴重な機会をいただいた、Observability Conference Tokyo 2025の運営スタッフの皆様、そして当日参加してくださった皆様に、心より感謝申し上げます。
SRE部では、一緒に働く仲間を募集しています。ご興味のある方は、ぜひ採用ページをご覧ください!
dmm-corp.com