DMM の Turtle Design System ポータルサイト β 版を公開しました

DMM の Turtle Design System ポータルサイト β 版を公開しました

はじめに

こんにちは!わたしたちは DMM.com の プラットフォーム開発本部 > Developer Productivity Group > Turtle チームです。

わたしたちのチームでは、横断チームとして社内の開発生産性を高めるための仕組みづくりを行っており、その一環でデザインシステム『Turtle Design System』を開発・運用しています。

この度、これまでに蓄積したナレッジをより多くの組織に活用してもらうため、2025年10月に Turtle Design System のポータルサイト β 版を公開しました。

turtle.dmm.com

デザインシステムの運用や事業との連携について考えている方々の一助になれば幸いです。

デザインシステムとは?

デザインシステムとは、各プロダクトで繰り返し使われるパーツやコンテンツを、再利用可能なライブラリや利用ガイドラインとしてまとめた仕組みです。繰り返し利用しながらニーズに適応していくことで、デザインシステムは最適な形に磨かれていきます。

メリットとして、短期的には開発コストの削減、長期的には複数プロダクトやサイトの一貫性の担保、それによるユーザーの認知負荷低減、ユーザビリティやアクセシビリティの品質担保、さらには開発プロセスに関わる人々の言語の共通化、といった様々な価値を生み出します。

一般的なデザインシステムには、UIライブラリ、デザイントークン、ガイドライン、その他の各種ツールが含まれます。

これまでの歩み

わたしたちは2021年から Turtle というデザインシステムを開発・保守運用しています。2025年現在は4人(デザイナー2人、エンジニア2人)でスプリントを回しながら、地道に社内プロダクトへの導入を進めてきました。今では、導入を予定していた半分以上のプロダクトに導入が完了しています。

そのプロセスは、必要なものから作っていき既存の実装を順次置き換えていくといった、ある意味地味で段階的なものでした。ユーザー体験の統一というモチベーションが高いエンドユーザー向けのアプリケーションに加えて、主要プロダクトの管理画面等を対象に順次置き換えていきました。

導入可能なプロダクトにおける導入率は80%、全プロダクトにおける導入率は52.63%です。未導入のプロダクトには、技術的な事情ですぐに導入が難しいものや、事業的優先度の低いものが含まれます。

また、開発本部の温度感の高い課題にも貢献していくために、デザインシステムの AI 活用についても開発と検証を進めました。先日公開した 「AI × Turtle で実現する Vibe Coding:DMM デザインシステムを活用した新たな開発ワークフロー」でその詳細を紹介しています。

developersblog.dmm.com

このような取り組みを続ける中で、次のステップについて考える機会がありました。

さらなる価値提供のためにチャレンジできないか?

このまま既存コンポーネントの改善を続けていくという選択肢もありました。しかし、長期的な見通しを持った時に、価値が最大化される選択肢は何か?を改めて考えてみました。

そこで見えてきたのは、わたしたちの開発本部以外の事業への貢献領域を広げる取り組みへのチャレンジでした。

2022年からデザインシステムの貢献領域を「単一チーム」「特定の複数チーム」「デザインシステムに興味のあるチーム」「AIプロセスへの統合に興味のあるチーム」へと広げていきました。

ただし、デザインシステムを導入してもらうことだけが価値ではないと思っています。何らかの理由でデザインシステムの導入に至らなくても、デザイントークンの管理方法や自動化プロセスを参考にしたり、デザインシステムを導入した際の事業インパクトの検証の判断材料にしたり、新規プロダクト開発以外のタイミングで業務改善を行いたい場合に役立つ情報(例えば、使いやすいデザインデータの作り方など)を提供することで、より幅広い貢献が可能になります。

そのために、ポータルサイトを公開するというこのプロジェクトで Turtle を広く周知し、デザインシステムの情報にアクセスしやすい環境を作ることが最適だと判断しました。これまでに蓄積したナレッジを、わたしたちの開発本部だけでなくより多くの人に活用してもらうことで、デザインシステムの価値を最大化していきます。

最高のフロントエンドアプリケーションを最速で

わたしたちのミッションは「最高のフロントエンドアプリケーションを最速で提供する」ことです。

そのためには、開発生産性の向上が不可欠です。生産性向上により生まれた時間を品質向上に投資することで、ユーザー体験の継続的な改善と競争優位性の維持が可能になります。逆に、このような取り組みを先送りすれば、技術的負債が蓄積し、長期的な競争力を失うリスクが高まります。

だからこそ、デザインシステムで開発効率を向上させ、その成果を組織全体で共有していく仕組みが重要です。これにより、結果として LTV(顧客生涯価値)や CRR(顧客定着率)といった事業成果につながる地道な投資を継続できます。

この価値をより多くの組織に広げるために、今回 Turtle Design System のポータルサイト β 版を公開しました。ポータルサイトの公開ははじまりに過ぎません。DMM 全体でより良い UX(ユーザー体験)と DX(開発者体験)を実現するための指針をみんなで考えていけるきっかけにできればと思っています。

turtle.dmm.com

Turtle Design System ポータルサイト β 版には公開時点で載せきれていないコンテンツがありますが、継続的にコンテンツを追加していく予定ですので今後の更新にもぜひご注目ください!