
Androidアプリエンジニアとしてキャリアをスタートし、某テーマパーク向けアプリや電子書籍アプリなど多様なアプリ開発に従事した後に2013年にDMM.comに入社。 DMM.comではアプリ開発やサーバーサイド開発、TL、PLの経験を経て現在はPMとしてプロジェクトを推進し、PM採用・PM育成を担当。 PMP®️(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)ホルダー
DMM.comに2008年に金沢事業所にて新卒入社。10年前に東京本社へ転籍後、プラットフォーム事業にて会員や決済など基幹システムのwebディレクションを専門的に実施。 事業専門のPMから全社横断的なプロジェクトへPMとして経験を積み、23年度にアルファ室へジョイン。 アルファ室では、プレイイングマネージャーとしてプロジェクト業務を推進しつつ、メンバーのピープルマネジメント、組織運営などに従事。
ゲーム開発会社にてゲームの運営と開発を経験した後、2015年にEXNOAの前身となるDMM. com laboに入社。 ゲームプラットフォームの開発ディレクション業務を行った後、2021年10月DMM.comに転籍。 現在はDMMの開発プロジェクトを横断的に見るPM組織「アルファ室」に所属し、DMMが持つ様々な開発プロジェクトのPMとして業務を行っている。 PMP®️(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)ホルダー
はじめに
みなさま、こんにちは。アルファ室に所属する金築です。
アルファ室は、DMMの新規事業や既存事業の成長を後押しする組織横断型のプロジェクト支援組織として機能しています。
私たちは、DMM全体の成長を促進し、開発業務を横断して必要不可欠な存在となることを目指しています。
アルファ室の発足背景や組織については、以下の記事もぜひご覧ください。
今回は、そんなアルファ室に所属するプロジェクトマネージャー(以下、PM)の育成にどのように取り組んでいるのか、具体的な施策を交えて私たち3人のリーダー陣からご紹介します。
PMスキルの組織的な向上を目指して
プロジェクトの成功はそのスピードと品質に密接に関わると考えています。しかし、その実現にはプロジェクトマネジメントといった定量的に測りにくい能力の効率的な育成が必要となります。
そのために私たちは、PMスキルの組織的な向上を目指し、その調整を図ることで高い生産性が得られる環境を構築しています。私たちの目標は、ロミンガーの法則の70%、すなわち実際の職場で得られる経験と学びを最大限に活かすことにあります。
現在、私たちは既存のPMだけでなく、アソシエイトPMもどのように立派なPMへと成長できるようにするかを特に注力しています。また、プロジェクトの品質とスピードを一定に保つための構造を整備しており、信頼のおけるプロジェクト実行を通じて全社の成長を支えています。

成長を最大限に引き出すPM育成スキーム
PM育成における全体の流れは、次の図の通りです。このスキームを通して実践から得られる成長を最大限に引き出すための取り組みを行っています。
まずは育成計画の策定、計画の実行と実践へ向けた知識の習得、そして実践後の評価が含まれています。これらすべてが成長へとつながっていきます。
このスキームは、さらなる洗練を図りながら、アルファ室だけにとどまらず、全社的にPM能力の底上げを推進していく計画です。

育成計画の策定
各プロジェクトマネージャーのスキル向上を最大限に支援するため、個々の育成計画を策定しています。
その計画作成にあたり、本人の能力と意志、キャリアビジョンをしっかりと理解し、具体的なプロジェクトを通じてどのようなスキルアップを図るかを計画します。
PMコンピテンシー診断を活用した評価
各個人のスキルや職能を定量的に評価するためにコンピテンシー診断を導入し、これを効果的な育成計画への立案に活用しています。
この診断は全59項目にわたり、プロジェクトマネジメントだけでなく、個々の特性や他者とのコミュニケーションに関する要素も含まれています。
診断の目的は、所属している組織の評価基準でスキルを定量化し、自己評価と他者からのフィードバックとの間のギャップを明確にすることで、真の能力を認識することにあります。
さらに、この診断により組織全体のスキル傾向や特徴を視覚化し、こうした情報を基に組織全体のスキルアップを促進する講座の企画・実施に役立てています。
このようにして個々の成長と組織全体の強化を同時に追求しています。

PM育成講座
前述のコンピテンシー診断をもとに組織全体のスキル傾向を具体的に把握し、特に強化が必要とされる分野に着目した講座を作成することで、実践に必要な学びの機会を提供しています。
これらの講座は「明日から業務で活用できる」「明日から意識改革が可能である」「業務遂行に対するビジョンが具体化する」ことを基本方針としておりアルファ室内で設計されています。
この取り組みによってアルファ室内における学びと発信の文化を醸成しています。
更に、各講座が目指すレベルに対しての組織への影響度や講座で獲得した知識が業務にどれだけ活かされているかを評価し、そのフィードバックをもとに講座を随時改善しています。
プロジェクト標準化施策
ここからは林からプロジェクト標準化に関する施策について説明いたします。
プロジェクト標準化とは、一般的にはプロジェクトの進行を体系化することと解釈されますが、アルファ室では体系化だけではなくプロジェクトを通した資産化サイクルまでを一連とした施策を実施しています。
プロジェクトに参画する人たちは、その進行方法やドキュメント作成、振り返りでの反省点などの活用を経験を通じて蓄積していきます。
一方で、プロジェクトに参画していない、またはこれから開始していく人たちに対しても、これらの資産を活用してもらうことで成功例を模倣し、失敗のリスク要因を事前対策できるような環境の構築を行っています。
プロジェクトの標準化を通して、資産作りとその活用を行う=ナレッジマネジメントモデル の構築を推進しています。

プロジェクト標準化における背景課題
プロジェクト標準化の目的としては、『アルファ室のメンバー全員が一定水準でプロジェクトを進行できること』を目指しています。
それを達成するには、「プロジェクト進行のスピード力」×「高品質な成果物」の両面でのアプローチが必要です。(もちろん、これら以外の要素もありますが、まずは一定のQCDを担保できるPMになるにはスピードと品質に対してメスをいれる必要があります)
- 経験不足や知識のサイロ化など属人的になりやすい状態を解消すること。
- 成果物の不統一性を避け、ステークホルダーである上長や他部署が正しく判断できる状態を実現すること。
- 成功および失敗の事例を共有し、予期されるミスを減少させること。
これらの対策を行うために、プロジェクトの標準化が1つの解決策として有効であると考えています。

現在、以下の3つの施策に分類して標準化を実施しています。
- 工程標準化
- プロジェクトの汎用的な工程にDMMの特性を加えたワークフローのテンプレート化
- DMMでは60事業と常に向き合っていく必要があるので、アクティビティ+完了するまでの手段(意思決定の会議帯やステークホルダーへの連絡先、アウトプットの場所)までを手順書として含めています。
- ドキュメント標準化
- プロジェクトにおける成果物のガイドラインとアウトプットのテンプレート化
- 人によって書くこと・書かないことを自己流で判断するのではなく、成果物の役割や目的を可視化し、要件に沿った成果物を統一的なフォーマットにて作成しています。
- これにより、検索性や可読性の向上など副次的な効果も生まれています。
- 評価(振り返り)標準化
- プロジェクト終結後の振り返りで創出されたKeep/Problem/Tryに対しての学びをナレッジとして展開を行う
- ナレッジを作るだけではなく、他者へのインプットまでをプロアクティブに促進させるために、チーム内での発表会などの習慣化サイクルも運用として組み入れています。
標準化の重要な役割
アルファ室のメンバーは一定水準でのPM経験がある方が非常に多いチームです。それぞれの企業の文化で形成された我流でのプロジェクト進行論は私も含めて持ち合わせています。
ここにエッセンスとしてDMMに最適なプロジェクトの進め方を定義することで、「安心・安全なプロジェクト進行(体系化)+各PMの強み(経験)」の相乗効果でより良質なプロジェクトマネージメントのソリューションが提供できると考えています。
プロジェクトのアサインと実践
最後に渡邊から、アルファ室がプロジェクト遂行(実務)のために、上述の各育成施策をどのようにして活用していくかを紹介します。
プロジェクトアサインテーブルを活用したメンバーのアサイン
プロジェクトを適切に遂行するために必要となるメンバーのアサインですが、ここで先ほど金築から説明があった「コンピテンシー診断」の結果や「プロジェクトアサインテーブル」を作成し活用しています。
「プロジェクトアサインテーブル」とはプロジェクトの複雑性や規模を考慮し難易度をレベル化したもので、個々のスキルアップの視点や目標に基づいてプロジェクトのアサインを検討するためのツールとなります。
プロジェクト進行には、 プロジェクト難易度の明確化 と アサインされたメンバーのスキルセット を明確にすることであると考えており、アルファ室では遂行すべきプロジェクトの難易度を、以下の定義を軸にして4段階のレベルに分類、その難易度から各メンバーの「コンピテンシー診断」結果をもとに適切なメンバーをプロジェクトにアサインします。
プロジェクト難易度の選定基準
- スコープの複雑さ
- スケジュールの厳しさ
- リソースの制約
- リスクの大きさ
- 技術的複雑性
- ステークホルダーの関与度
上記の定義をスコア化し、全4段階の難易度設定を行う。
ここではプロジェクトを難なくこなせるという観点ではなく、 プロジェクトを通して担当者がどのように成長できるか?(本人にとって難易度の高い案件を提供すること)という観点を重要視しています。
これはアルファ室に在籍する各メンバーが、プロジェクトの経験や挑戦を通して常にスキルアップし続ける環境を目指しているからです。
この時、各メンバーのスキルセット(強み・弱み)が明瞭化されていない場合、適切な難易度のプロジェクトとスキルアップのための環境を提供できない場合があることから、「コンピテンシー診断」の結果がプロジェクトを通した各個人の成長に、非常に重要なものとなっています。
またアルファ室では、プロジェクトに対して基本的にバディ制度を採用しており、バディ(パートナー)の組み合わせを考える際の参考にも活用しています。
例えば、コンピテンシー診断の結果、リスクマネジメントが不得意と評価されたAさんがいた場合、得意と評価されたBさんをパートナーとしてアサインし、AさんにはBさんから学んでもらいながら共に成長していくといった具体的な利用の仕方があります。
これにより、育成とプロジェクトの成功を両立した環境を構築しています。
プロジェクト進行のための道標
続いて、林から説明された「プロジェクト標準化」の活用事例を紹介します。
前述の通り、アルファ室メンバーのプロジェクトへのアサインは本人のスキルと比較して、若干難易度が高くなることが多いです。
この際、経験が豊富なメンバーであれば、自身の工夫でプロジェクトを完成まで持っていくことができるかもしれませんが、経験が少ないメンバーの場合、初動のアクションが分からず途方に暮れてしまう場合もあります。
そこで大事になってくるのがこの「プロジェクト標準化」です。これにより経験の浅いメンバーはこのナレッジ化された情報を集めることで初動の躓きを極力無くすことができ、プロジェクトを遂行しながら経験値の高いメンバーに近い動きを学ぶことができるのです。
プロジェクトで得た教訓のフィードバック
ここからは、プロジェクトで得た教訓を「コンピテンシー診断」や「プロジェクト標準化」にどのように還元していくのかを紹介していきます。
例えば「コンピテンシー診断」の場合、各個人のスキルの定量化は、プロジェクトの中での実践経験をベースにして診断し数値を定義します。
メンバーには可能な限り過去のプロジェクトではできなかったことを現行のプロジェクトでチャレンジしてもらえるようアサインしているため、案件を重ねるごとに少しずつですが、各メンバーのスコアが伸びていきます。これを定常的に行うことで、本人やチームが成長を実感し、更に高い難度のプロジェクトへの挑戦意欲や本人の自信に繋げることができています。
「プロジェクト標準化」については、前提としてPMとしてプロジェクトに関わったものであれば誰もが頷くことだと思いますが、プロジェクトの規模に関係なく、計画通りにすべての物事が進むことの方が稀です。
これは担当PMにとって試練になってしまいますが、育成フォーマットを考える我々からすれば大きな財産となりえます。
「プロジェクト標準化」のフォーマットは過去の経験をベースにして作ったフォーマットであり、まだ見ぬ難度のプロジェクトに対して、ナレッジとして至らぬ部分や不足していることも発生します。
この時、この失敗を一つのプロジェクトに留めるのではなく、今後類似するプロジェクトに遭遇した時に、どのように対処するかをフォーマットに落とし込むため、この失敗をきっかけに、より難度の高いプロジェクトをこなすことができるナレッジが出来上がります。

各育成施策が形骸化しないように、どのようにプロジェクトに活かせるか、逆にプロジェクトを通して理解したことや発見したことをどのようにフィードバックするかを重要視しています。
さいごに
いかがでしたか?今回紹介した各育成施策は、アルファ室内だけでなく、DMM全社的に展開していくことでDMM全体のPMスキルを底上げしていきたいと考えています。
現在うれしいことに、社内のいくつかの他部署にも展開している状況ですので、通して得た学びやフィードバックを踏まえて今後もブラッシュアップしていきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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