
KubeCon + CloudNativeCon North America 2023 の 参加レポート
はじめに
こんにちは!データ基盤開発部ML基盤チームの青島です。
普段は検索やレコメンドの改善を行うMLチームと一緒に、ML基盤の開発をしたり、ML基盤で計算した学習結果をAPIサービスとして公開するためのAPI基盤を開発したりしています。
我々のチームではこれらの基盤すべてをKubernetes上で構築しているため、Kubernetesやその周辺技術の情報収集のために11月に開催された「KubeCon + CloudNativeCon North America 2023」に参加してきました。
今回の記事はその参加レポートです。
KubeCon + CloudNativeCon とは
「KubeCon + CloudNativeCon」は、CNCFが主催をしているKubernetesとCloudNative技術に関するカンファレンスです。北米、ヨーロッパ、アジアでそれぞれ年に1回ずつ開催されていて、今回は北米シカゴで行われた 「KubeCon + CloudNativeCon North America 2023」(以下「KubeCon」) に参加してきました。
KubeCon自体は11/7~11/9の3日間だったのですが、前日の11/6も同じ会場でCo-located Eventが開催されていたのでそちらにも参加してきました。
印象に残ったこと
私は興味のあるセッションばかりを聞いていたので偏りはあると思うのですが、全体を通して以下のような印象が残りました。
OpenTelemetryが盛り上がっている
OpenTelemetryは最近仕様が固まってきて各種実装が徐々にstableになってきていることから、日本にいても盛り上がりを感じている分野ではありましたが、KubeConに行ってみるとOpenTelemetry関連のセッションが非常に多くて、コミュニティ内での盛り上がりを肌で実感しました。
初日のKeynoteではCNCFのGraduated Projectのアップデート情報の発表があったのですが、多くのプロジェクトのアップデート内容にOpenTelemetry対応が記載されていて、いよいよ本格的に使えそうな雰囲気を感じられました。
また、この分野に関する新しい知見も得ました。
たとえば、“OTTL Me Why Transforming Telemetry in the OpenTelemetry Collector Just Got Better - Tyler Helmuth, Honeycomb & Evan Bradley, Dynatrace” というセッションでは、OpenTelemetry Transformation Language(OTTL)というOpenTelemetryコレクターの設定を書くためのDSLについて新しく知りました。DSLで設定を書くことにより、従来のYAML記法と比べて設定内容が読み書きしやすい形になるようです。そもそも、OpenTelemetryコレクターを使っていないので、YAML記法のつらみみたいな話は実感がなかったのですが、具体例を元にどのように書きやすくなったのかという比較を見せてくれたので非常に分かりやすかったです。OpenTelemetryを採用した際はぜひOTTLを使ってみたいと感じました。
ほかにも、“A Practical Guide to Debugging Browser Performance with OpenTelemetry - Purvi Kanal, Honeycomb”というセッションも印象深かったです。このセッションはWebサイトやアプリのパフォーマンスをOpenTelemetryで計測する方法を紹介していました。普段私がインフラやバックエンドを触ってばかりいるので、OpenTelemetryというと、どうしてもサーバー側のことばかりを想像してしまい、コアウェブバイタルのような情報をブラウザ側から取得できる実装まであるのは知りませんでした。今後はこの分野も注目していきたいです。
AIの活用はまだ先?
KubeCon初日のKeynoteはLLMの話から始まり、セッションに関しては全体的にAIやMLに関する内容が多いように感じました。しかし、そのほとんどはAIワークロードを動かすプラットフォームとしてのKubernetesに注目していて、Kubernetes運用にAIを活用するような話まではありませんでした(一方、企業ブースでは少しありました)。最近のAIブームから、AIOpsのようなKubernetes運用や開発にAIを活用するような話もあるのかもなと思っていたのですが、そういった話はあまり目立っていませんでした。
ちなみに、ML関連だとジョブのコールドスタート時間を短縮するテクニックを紹介していた “Reducing AI Job Cold Start Time from 15 Mins to 1 Min - Tao He, Google” というセッションが印象に残りました。ML系のコンテナはライブラリレイヤーのサイズが大きくなってしまうため、それにともなってイメージをダウンロードして起動するまでの時間が長くなりやすいことに対する高速化のテクニックの紹介です。さらに、現在contairedやkubeletで提案されている新機能を使うと今後どのように高速化ができるようになるのかという話も聞けました。我々のチームではジョブの性質上コールドスタートがそこまで大きな問題とはなっていないものの、個人的に気がかりな問題だったので、他社がこの問題に対してどのように対応しているのかを聞けて、とても良かったです。
まとめ
今回、海外カンファレンスに初参加でしたが、普段使っているオープンソースの開発者たちから直接話が聞けたり、コミュニティ内の盛り上がりを直接感じられたりしたことは、想像以上に良い体験でした。モチベーションがすごく上がりました。また、普段ネットで情報を集めていると、どうしても今必要な情報や興味のある情報ばかりを見てしまうのですが、実際にカンファレンス会場へ行くとなると、今まで興味のなかった情報も自然と目に入ってくるので、あまり興味はないけど暇だからこのセッションを聞いてみるかといった調子でセッションを聞きにいくようにもなります。現地での参加は、知識の幅を広げるのにも良いと思いました。
余談
@amsy810 さんが現地でKubeCon参加者の日本人交流会を開催してくれたので、そちらにも参加してきました。会自体もとても楽しかったですし、日本に帰ってからのコミュニティの輪を広げられて良かったです。
https://kubecon-jp.connpass.com/event/291199/
また、今回は会社の『カンファレンス参加支援制度』を使ったのですが、カンファレンスの参加費・交通費・宿泊費を会社がすべて負担してくれるだけでなく、カンファレンスの申し込みや航空券・ホテルの予約も代行してくれたので、非常にスムーズに行けました。